神棚の移動
従来、神棚による家庭の祭を行ってきた家庭で、神棚設置場所の移動を考えているのであれば、祭祀にあたって、何らかの不足が生じたときであると考えられます。主として方位などが不適切であった場合が多数でしょう。ここでは方位を中心に神棚設置の場所に関するご説明を申し上げます。
通例、神棚の向く方向は「南」もしくは「東」が基本でありますが、現況は違う方角を向いているという事でしょう。この場合、まず考えるべき事として「なぜ最初にこの場所に定めたか?」があります。
現在の建築物は、自宅前の道路に対し平行に建物が建てられるなど、方位を最優先に建築していません。ですから建物の構造上、厳密に「南」なり「東」に神棚が向くことは、非常にわずかな確率であると考えられます。また建物の構造を無視し、強引にその方角に向く神棚の設置をした場合、その安全面は信仰・安全の両面からも気になる問題であります。これは「建物が悪い」のではなく、「神棚祭祀の原点」に対する意識の希薄さなのかも知れません。
「神棚祭祀の原点」は家族を神様にお守りいただく事。そして神様に対し家族が真心の奉仕を行うことにつきます。「神棚祭祀の原点」をみつめ、できる限り古来の良いとされる方角に添った形で神棚を設置できるのであれば、より相応しいと考えられます。この様な設置場所を探すための方法の一例を記します。
1(部屋の選定)
部屋の性格などにとらわれず、家族全員がお参りでき、かつ神棚を高い場所に設置できるスペースを考慮し、部屋を決める。
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2(方角の選定)
先述した?の部屋に神棚を設けたとき、およそ南~東にかけた90度の角度の範囲以内でその方角に向きそうな場所を選ぶ。
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3(場所の選定)
高く清浄な場所に雲板を据え付け、神棚を設置する。尚、二階などがある場合は天井に「雲」と墨書し神棚の真上に貼る。アパートなどで壁に釘が打てない場合、タンスの上などでも良い場合があります。
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4(上手く行かないとき)
1の様な部屋がない。という場合はベターな選択をしながら再度選定し直します。たとえば、この部屋は1の様な部屋ではないが、隣の部屋よりは1の部屋に近いなど。2の方角の範疇にどうしても設置できないばあい、1の部屋にした経緯を念頭に「南」「東」「西」「北」という方位の優先順位を考慮しながらベターな方位を模索する。1・2をクリアできたのであれば3はあまり問題になることはなさそうです。
以上、設置場所選定を模索した一例であります。この方法を試すと、先に述べたように「なぜ最初にこの場所に定めたのか?」が見えてくるかも知れません。四角四面の方位意識より、まず優先されるべきは、神棚祭祀のあり方であること、そしてその中で方位意識が適合される状況であれば望ましいと思います。