地鎮祭(じちんさい)
地鎮祭は土木工事や建築工事を始める時に、その土地の神様に工事の安全と順調な完成を祈願するお祭で、建築儀礼のひとつです。古来、鎮祭(しずめまつり)・地祭(じまつり)・鎮地祭とも呼ばれました。祭神は古書に記載がないため、いろいろな説に分かれましたが、その土地の神様である土公神(どくじん)をまつる土公祭と同様で、現在では産土神(うぶすながみ=その土地の神様)と大地主神(おおとこぬしのかみ)を主神としてまつります。
地鎮祭の記録として最も古いものは、『日本書紀』持統天皇五年(六九一)十月の条に記された藤原京の地鎮祭です。また、『続日本紀』和銅元年(七〇八)十二月の条には平城宮の地鎮祭の記述があります。以来、地鎮祭に関する記録は数多くありますが、そこに共通することは、その土地を司る神様にその土地を使用するにあたって承諾と認可をいただき、「安穏鎮護」を祈念するというものです。つまり、冒頭でも記しましたように、地鎮祭は工事が安全に行われ、完成した建物等のその後の守護をその土地の神様にお願いするものです。
祭式は『延暦儀式帳』の伊勢神宮の式、『貞観儀式』の大嘗祭地鎮の式のほか、仏教や陰陽道と習合した両部神道や吉田神道、橘家神道などの様々な式が執り行われました。現在の地鎮祭は、用地の中央に神籬(ひもろぎ=榊を立て神様が坐す所)を据え、斎竹(いみだけ)を四方に立て、注連縄(しめなわ)を張って祭場としますが、地域によって違いがあります。
地鎮祭式次第(じちんさいしきしだい)
一、 修祓の儀
一、 降神の儀
一、 献饌の儀
一、 祝詞奏上
一、 四方清祓
一、 地鎮の儀
・刈初の儀
・穿初の儀
・鎮物物埋納の儀
一、 玉串拝礼
一、 撤饌の儀
一、 昇神の儀