令和6年「西笹津清掃奉仕」報告

富山県神社庁(平尾旨明庁長)は5月17日、昭和天皇がお手植ゑになられた杉の立つ富山市内の山林で、地元住民らが地元有志団体「御手植え杉を守る会」(村井修一会長)との合同による清掃奉仕活動をおこなひ、環境整備と美化に汗を流した。

お手植ゑ杉は昭和22年に、戦後の県下一円の治山治水意識の啓発と防災のために婦負郡細入村笹津(現・同市西笹津)に植ゑられたタテヤマスギ3本。当時の「陛下の思ひを後世に」と地元住民が地道に守ってきたが、これまで公的な保護は一切なく、その存在すら地元住民と一部の関係者以外に周知されてゐなかった。
平成29年に同県で開催された全国植樹祭に先立って、県神社庁では西笹津の現地調査を実施。その際、お手植ゑ杉のほど近くに杉の木を見守るかのやうな「さざれ石」も発見された。
「お手植ゑ杉とさざれ石との所縁の地」を大切に守り伝へようといふ気持ちは自然と湧き、県神社庁では保全活動を地元住民と連携しておこなっていくことを決定。同年から精力的に活動してゐる。

今回で7回目となる整備活動は、神職と同会会員30人が参加した。植樹地にほど近い八幡宮(二宮啓宮司)に参拝。続いて村井会長が「お手植ゑ杉を守る会会員の高齢化が進んでをり、神職の皆さまの協力は本当にありがたい。末永く一緒に清掃奉仕活動をおこなひたい」と挨拶した。
その後、午前8時30分から新緑が美しい杉やさざれ石周辺の雑草を刈り取ったほか、落ち葉・枯れ枝の集積、遊歩道の整備などに従事。杉周辺に設置されてゐる案内板にアクリル板を取り付け、補強もした。

また、お手植ゑ杉のすぐ傍をJR高山線の列車が通ることから、「車窓から鮮やかな草花も楽しんでもらはう」と菖蒲も植栽することに。来年の初夏には美しい花が咲くことを願ひつつ、ひと苗づつ丁寧に植ゑていった。
清掃奉仕の回を重ねるごとに、神職と守る会の会員らとの連携は、より強固なものに。「来年は清掃奉仕だけでなく、親睦会もおこなって、絆をより深めたい」と提案もあり、次回はバーベキューなどを予定してゐる。